用語の説明
悪阻(おそ)とは、妊娠初期頃から起きる食欲不振や吐き気などの症状で食事や水分を摂取することが出来ず、栄養代謝障害や脱水を引き起こしている状態のことを言います。悪阻はつわりとも呼ばれ、つわりがおきること自体は問題ないのですが、重症悪阻という急激な体重減少や脱水症状がみられると入院管理が必要になることもあります。
原因
つわりのメカニズムは未だ解明されておりませんが、妊娠に伴いエストロゲンやプロゲステロン、ヒト絨毛性ゴナドトロピンの上昇などのホルモン変化が消化管に影響を与えることが一因であると考えられています。その他にもビタミンB6不足が一因という考えや精神的な影響が強いという一説もあります。
症状
つわりの症状は多種多様で吐き気、嘔吐、食欲不振、倦怠感、胃痛、便秘、脱水状態(口の渇きや皮膚乾燥など)、体重減少などが挙げられます。また妊娠悪阻の合併症としてビタミンB1欠乏が原因のウェルニッケ脳症や肝機能障害などを引き起こすことがあります。
検査・診断方法
問診や体重測定、尿中ケトン体検査などを行い、尿中ケトン尿陽性である場合や体重が妊娠前より5%以上減少している場合には重症悪阻と診断され入院管理が必要となります。
治療方法
軽症の場合は外来受診で電解質や糖分などの点滴投与を行い、運動を勧めたり自宅での食事指導を行います。重症の場合は、口から食事を摂ることが出来ないケースが多いため入院管理にて電解質やビタミン、糖分の点滴投与や漢方薬を用いられることもあります。栄養障害が進行し脳症状や神経症状が出ている場合には人工妊娠中絶術にて妊娠中断をすることもあります。
その他
つわりは全妊婦の半数以上が経験することですが、個人差が大きく体重減少だけでなくケトン尿が出たりなど適切な治療を受けないと脳や肝臓障害など合併症を引き起こすことがあるため、口からの食事や水分摂取が難しい場合には無理はせず医師に相談するようにしましょう。